姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
雨、もうすぐ止みそうだ。
空を飛んで行こうか。家、どこ……?



その日初めて小夜子は抱き抱えられながら空を飛び、
雨の音とエリアルの心臓の音に耳を傾けながら、
少し眠ってしまっていた。

普通なら緊張で神経がぴんと張っているはずなのに、
やっぱり自分はちょっとおかしいのかもしれない。

だけど、そんなことも後から笑って思えるくらいに、
その時は安心し切っていたのが事実だった。




ふふっと、笑みがこぼれた。
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