姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
こんな不安な状況でも、エリアルの事を思い出すと、
不思議と怖いと思わなくなれる。

エリアルが吸血鬼だと一番最初に言った時、
何の疑いも無く「ああ、そうなんだ」と答えた。

その言葉にえらく驚いてたっけ……。あはは。


一般人なら、『吸血鬼』なんて聞いただけで、
信じないか恐れるかのどちらかだ。

気が付いたら興味津津――それも、
好意的な受け入れ体制になっていたなんて、
口が裂けても言えない……。


小夜子は、駅舎を抜けた。

その途端、街の喧騒は一転して大人しくなる。


賑やかなのは、反対の出口の方…
…こっちはほとんど店も無いし、薄暗い。
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