姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
日本語が通じるかとか、
そういうのは置いておいて、
不審たっぷりに俺が呟くと、男は口を開いた。
「ここは、小夜子の家?」
…こいつ、姉さんの知り合いか?
「そうだけど…あんた何?」
そいつは答える代わりに、
着膨れたコートのボタンを外して、内側を見せた。
中に…姉さんがいた。
姉さんは小柄だ。
だけど、まさかコートの中にすっぽり入っても、
気付かないとは思わなかった。