姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
エリアルは、ゆっくり俺を見据えると、
トーンを落とした声で言った。



「絶対に付いて来るな」



冗談一切抜きの、命令口調。

素直にその言葉に従ってしまいたくなるくらい…
…威圧的過ぎた。


「退いてくれ……」

俺は自然と、後ずさりをしていた。

――……一歩でも前に出たら、殺される。



頭と肩を鷲掴みにして首を固定、
口を大きく開き、柔らかく脈打つ動脈目がけて牙を喰い込ませ、
喉を鳴らす……。

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