バカな女【短編】
バカな女
好きな人のアドレスを手に入れた。
それだけだったら良かったのに。
「彼女とのセックスに悩みすぎて、動物と人間の違いから勉強したわ」
「そんな明け透けに言わないでください。」
「いや、本当に感動ものだと思った。だって、俺、セックス上手くなった気しかしないし」
私はなんでこんな男を好きなんだろう、と心底思った。こないだまでは、ただの好きな人だった。盲目の私は視界が開けた瞬間、幻想との差が埋められなくて常に戸惑ってる。
正直冷めた気持ちも、ある。
それでも片思いは片思いなのだ。
何が悲しくて好きな人の性事情なんか聞かなくちゃならんのだ。
「彼女いるのにこうして私遊んでもらっていいんですか?」
彼はあははと笑う。
「彼女には言わないしいいよ」
彼の部屋はすっきりしているが、テレビの前だけは配線地獄だ。ようはゲーマー。私は本当の遊び相手。
< 1 / 5 >