バカな女【短編】
コントローラーを動かして、目の前の敵を討つ。楽しいことをしているはずなのに、笑えない。
それどころか顔が引きつってきた。泣くに泣けない。この感情はなんだろう。
彼は四歳年上のゲーマーだ。話も面白いけれど、特別いけてるような感じは醸していない。顔だって平凡だ。
なんで好きになったのだろう。ぼんやり考えてみる。受験の時の激励が心に響いた、たしか、その時にころっと、落ちてしまったのだった。
料理教室まで通いに行って、バレンタインデーも気合いいれて勇気を振り絞ってあげたし、誕生日プレゼントだって、
彼は笑って受け入れてくれた。
だから期待したのかもしれない。
私自身も受け入れてくれる、と。