バカな女【短編】
隣り合って、腕は触れ合うくらいに近いのに、遠く感じる。価値観の違いは楽しむものだと、恋愛上手な友人は宣った。
私は泣きを見るとしか、思えない。
「菜々って彼氏いたっけ?」
「いたらこんなところに来てませんよ」
「俺彼女いるけど連れ込んでるよ」
「ほんっとクズだな」
「否定はしない」
それでも彼なりのクズさで彼女を大事にしてるのだろう。彼女の話をした時の彼の目元はかなり優しく穏やかだ。
しねばいいのに。