風神さん。
「あとは…ギルド自体の主な収入としては、このギルドを一般人にも開放して飲み物や食べ物を商品として売り出す事で収入は、賄ってるみたい。うーん…あとはギルメン専用の寮とかも」
大体の説明が終わったのか、男の子は一つの席にカンナヅキを案内した。長く大きいテーブルが三つほどギルドの中に置かれていて、これまたほどよい感覚で木製の丸太のようなチェアーが置かれている。
カンナヅキは案内された一番端に座ると、男の子はその右隣に座った。
二人が座ったのとほぼ同時、目の前にこのギルドの門に彫刻されていたのととても似ている天使の姿をした女性が、投影されているような形で姿を表した。
「ご注文は」
「アップルティーで…お姉さんは?」
私も同じものを、とカンナヅキはこたえる。そもそもメニューなんて見当たらないから何を頼んでいいかも分からない。
その天使の姿をした女性は了承の意を述べると、消えた。
「今のは?」
カンナヅキが消えた所を不思議そうに見つめながら男の子に問いかけた。
「うーん…一種の魔法かな。まぁ、魔器の分類に入るんだけども」
そもそも、この世界には魔法が2種類ある。
まず、魔導師が体内にもつ、「魔力」。
この魔力を消費して様々な魔法が繰り出される。
個人で大きな差がでるのが、この魔力だ。
次に、「魔器」。
魔器とは、魔力が込められた道具の総称で、天然のものと人工のものがある。
天然のものは、水晶のように魔力が目に見える形となり、俗に「クリスタル」と呼ばれる。
クリスタルは主に魔法で動く≪空船≫など乗り物に使われるものが多い。
人工の魔器とは、例えばスイッチを押すと炎が吹き出すといった、クリスタルの魔力を様々な用途に変えたものが、人工の魔器となる。
今テーブルに現れたあの仕掛けも人工の魔器となる。
そんな話を聞いていると、ちょうどいい暖かさのアップルティーがイラーリによって直接運ばれた。
そこは魔器にはしないんだ、と呟くとイラーリは、
「人でしか生み出せない暖かさも大事ッスからね」
と言われてなるほど、と思いながらカンナヅキは初めて目の前にしたアップルティーを恐る恐る口に入れた。
「甘い」