風神さん。
「そうだけど…」
女には、探している人物が居た。
「風神」と呼ばれる男を探して、女はこの大きな街に出たのだ。
その、「風神」という異名を背負った男が、魔導師ギルド「天使の誘惑」<ハニーエンジェル>に所属している、という情報を元にこの街にいる。
「私には、行きたいギルドがあるの」
きっぱりと、女は言い切った。
男の子は、少し下を向き、つま先で地面のタイルをいじりながら、唸った。
「まぁ、いいや…僕たちのギルドは有名だから、いつかまた会えると思うよ」
そう、悲しげに言った男の子の笑顔が、どこか見覚えがあったように感じ、女は踵を返しどこかへ去ろうとした男の子を呼び止めた。
「あなた、名前は…?」