風神さん。


それから毎日、私はお兄さんと会った。
魔法の事、世界の事。相変わらず、お兄さんの事は話してくれなかった。

魔法は、私達のように力が強いからといって魔法も強くなるわけじゃない。
人間皆に平等に魔力がどこかに秘められていて、その魔力を、入れる器さえ大きく出来たなら、傭兵部族さえも凌ぐ強さを手に入れられる。

そういえば、お兄さんの事を一つ教えてもらった。
お兄さんは「風魔法」を扱うらしい。
なんでも風魔法は魔力をすごい消費するみたいで。風魔法を使いすぎたり、大きな魔法を起こそうとすると魔力ではなくて、自分の血肉を使ってしまい、死んでしまう可能性もあるらしい。
大きな魔力を消費するわりに、強力な魔法は無く、援護に撤退するも燃費の悪い魔法らしい。

私は、どうしてそんなデメリットばかりの魔法をって、聞いたんだけど、お兄さんは「風神の器」という難しい話をしだすから、私は二度と聞かないでおこうと思ったのは秘密。

お兄さんが私に教えてくれた魔法。
それは、「自然と友達になれる魔法」だった。

自然は、無くなる事はない。いま呼吸している空気だって、背の高い木々だって、透き通った水だって。
だから、一度友達になれればずっと、居なくならない友達。

そう、お兄さんは教えてくれた。

又の名を、「自然造形師」<アート・ネイチャー>というらしい。

その魔法を、私とお兄さんで磨く日々が始まった。


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