風神さん。
第三章
0.5
僕が、カンナを強風で突き飛ばした時、村を大きなつむじ風で包んだ。
七日七晩は、村の者はこの村から出られないだろう。
酷い頭痛がする。視界も安定しない。打ってもないのに、鼻血が止まらない。
そうか、これが血を無理矢理魔力に変えて魔法を使った時の、代償…。
いつの間にか空を見ていた僕。
空には大きな魔法陣があった。
あれが壊された時、僕はきっと死を迎える事になるだろう。
ただでさえ産まれ持つ魔力の器が極端に小さい僕なのに…。
「風神様…どうしてここまで」
なんとかして村から抜け出そうとする、村の者達。決して空を覆う魔法陣を壊そうとはしない。
魔法陣を壊すという方法が思いつきもしないのか…少なくとも、今僕に質問を投げかけた村長は、知っているはずだ。
「そうだ…私は君達に話があったんだ」
僕はカンナに見せたこともないような、意地の悪い笑顔を浮かべた。
「奇遇ですね、私もですよ」
村長は蓄えた髭をいじる。
髭につけられた装飾品と腕につけられた装飾品がぶつかり合っていた。