告白 1&2‐synchronize love‐

でも恭一のお母さんは、お父さんには何も望んでいなかったらしい。

慎ましやかな七才の恭一との暮らしは、充分幸せで満ち足りているからと、

お父さんに改めてきちんと別れの言葉を言った。

でも、お父さんはそれで終わらせられなかったんだろう。

恭一のお母さんへの気持ちはもう、過去のものになっていたかもしれないけれど、

息子となる恭一のことは気にかけずにはいられなかったんだ。


当たり前だよね。

気にかけずにいる方が難しいよ。


お父さんはそれから時々、休みの日にあたしを連れて、恭一と会うようになった。

もちろん、お母さんには秘密だっただろう。




それがあたしの…

あたしと恭一の、十年以上の月日の中に埋もれていた、過去だった。

< 168 / 790 >

この作品をシェア

pagetop