告白 1&2‐synchronize love‐
「わァー! ちょっと待って!」
男は慌てたようについてきた。
簡単に横に並ばれ、ヘラっと笑われる。
あたしはむっとして更に速度を上げた。
「ねぇねぇ、酒井美緒さんでしょ?」
「違いマス」
「またまたァ。ちょっと話し聞いてよぅ。俺は深田恭一っていうんだけど…」
「それはさっき聞いた。なに、ナンパ? あたし忙しいの」
ついてくるなと早歩きしてるのに、男はしつこく話しかけてくる。
コンパスの差で引き離せないんだ。
ヘラヘラしながら見下ろされると、どうもイライラする。
「ナンパじゃないよ~。ね、俺の名前、聞いたことあるでしょ?」
「ないデス。もう何なの? ナンパじゃないならストーカー?」
「違うよ~。…いや、惜しい!」
惜しいって何だ、惜しいって。
間延びした喋り方はふざけているようにしか聞こえない。
あたしが呆れて速度を落とすと、男はすかさず前に回り込んできた。