告白 1&2‐synchronize love‐
あれは…三上くんと付き合うより少し前だったろうか。
ここ十年風邪を引いていないというバカは、いつも通りの薄着であたしのバイトが終わるのを待っていた。
パーカーを一枚羽織るだけの格好を、いつも寒そうだと感じていたけれど、恭一本人はまったく寒がっていなかった。
手袋はしていたけれど、それだけじゃ夜風に勝てるわけがない。
「ねぇ、恭一。ホントに寒くないの?」
「俺? あんまり~。美緒ちゃんが寒がりなんじゃないのー?」
「寒がりだけどさ」
「やっぱりね~。だと思ったんだ!」
「何で。ってゆーかそろそろさ、マフラーくらいしたら? 風冷たいじゃん」
「俺マフラー持ってないも~ん」
ケラケラと笑う恭一はその後、思いついたというようにあたしを見てこう言った。
「じゃあ美緒ちゃんちょーだい?」
「は? 何を?」
「マフラー。俺にプレゼントしてよォ。 あ、もちろん手編みね!」
「手あ……何であたしが?」
「美緒ちゃんが編んでくれたのなら、俺夏でも巻いちゃうよ~。うれしいなァ。“恭チャンLOVE”って入れてね☆」
あげるなんて一言も言っていないのに、アイツは嬉しそうに「楽しみだ」って笑っていた。