告白 1&2‐synchronize love‐
指が、震えながらボタンを押した。
『着いたよ。
三上』
人のざわめき、噴水の水音、車のクラクション、近くの店からもれるクリスマスソング。
それらすべての音が、一瞬世界から消えた後。
「酒井さん」
静かな声が、あたしの肩を叩いた。
顔を上げれば、いつもの涼しげな表情の彼が立っていた。
ライダースデザインの短いコートに細身のパンツ。
相変わらず手袋もマフラーもしていなくて、薄着に見える格好だけど、三上くんはちっとも寒そうな顔はしない。
「すごい人だね」
「………」
「…酒井さん?」
不思議そうに、三上くんが首を傾げる。
あたしは携帯電話をバッグにしまって、笑顔を見せた。
自分がすごく、汚く思えて泣きたくなったから、むりやり笑ったんだ。
「ほんと人多すぎ! 早く移動しよ!」
「…うん」
あたしは三上くんの腕を引き、人の波から逃れるように、広場の前を後にした。
携帯電話の電源は、切っておいた。