告白 1&2‐synchronize love‐
「好きなものを好きなように書いただけで、本ですらないよ」
白くくもる窓に向けて、短いため息。
あたしは一瞬混乱して、もう一度絵を見て、はっとした。
「もしかしてこの本、三上くんが…?」
「本じゃないって。小さい頃の落書き帳を、ここのオーナーがなぜか気に入ってね。ずっとここに置かれてるんだ」
彼は「イヤなんだけどね」と呟いて、水を飲む。
あたしは驚きながら、その絵と三上くんの顔を何度も見比べた。
小さい頃に書いたって言うけど、子どもの落書きになんてとても見えない。
ストーリーをつけたら、すぐにでも売れそうな上手さだ。
優等生に欠点なんて、ないんだろうかと思ってしまう。
「…お父さん、植物の研究してるって言ってたもんね。やっぱり三上くんも、小さい時から花好きだったんだ?」
「家でも植物に囲まれて育ったからね。植物図鑑が絵本代わりだったよ」
寝る前に植物図鑑を読む幼い三上くんを想像して、あたしは笑ってしまった。