告白 1&2‐synchronize love‐
「こんな上手な落書き、見たことないよ。全部実際にある花なの?」
「あるよ。家の温室とか、人の家の花壇にある花を描いてたはずだから」
「へえ。じゃあこの青い花は何て名前?」
真っ青な花弁の花がきっしり描かれたページを見せる。
三上くんは覗きこみ、微かに笑った。
「ごめん。嘘をついたみたいだ」
「え?」
「それはバラだよ」
「バラ?」
「そう。青いバラ。この世に存在しない、幻の花」
青いバラが幻?
でもあたしは昔、どこかで青いバラを見たことがある気がするんだけど。
それを三上くんに言うと、彼は自分の昔の絵を見ながら頷いた。
「実際にブルーと名前につけられたバラはあるよ。でもそれは、あくまでも青っぽいバラなんだ」
「青じゃないの?」
「銀混じりの薄い紫、水色…そんな感じかな。そういうバラは紫寄りの赤いバラから、品種改良を重ねて赤みを取り除いていったものなんだ。純粋な青じゃないんだよ」
いつもの三上くんの声よりも、力が入っている。