告白 1&2‐synchronize love‐

企業に対する嫌みではなく、三上くんは本当に、花に同情を寄せているような声で呟いた。


「確かに青色色素を持つバラを造り出せたのは、凄いことだよ。でも自然の法則を人の手によってねじ曲げられて、生み出されたものだからね。あれは『奇跡』でも『神の祝福』でも何でもない」

「…うん。何となくわかるよ」


三上くんは植物の遺伝子組み換えには反対なんだな。

それはきっと、植物を愛しているからなんだろう。

バイオテクノロジーのメリット、デメリットはあたしにはよくわからないけれど、三上くんの気持ちは少しわかる気がした。


「それに俺が見たいのは、中途半端な青じゃないんだ。完璧な青が見たいんだよ。その絵みたいなね」

「完璧な青か…。あたしも、見てみたいな」


あたしの同意に、三上くんは嬉しそうに目を細めた。


「俺の夢は、バイオテクノロジーには頼らない、自然で完璧な青いバラを生むことなんだ」


その夢が誇りであるように、彼は背筋を伸ばして凛とした表情で言った。

うらやましいと感じてしまうのも、仕方ないと思える顔だった。

< 336 / 790 >

この作品をシェア

pagetop