告白 1&2‐synchronize love‐
企業に対する嫌みではなく、三上くんは本当に、花に同情を寄せているような声で呟いた。
「確かに青色色素を持つバラを造り出せたのは、凄いことだよ。でも自然の法則を人の手によってねじ曲げられて、生み出されたものだからね。あれは『奇跡』でも『神の祝福』でも何でもない」
「…うん。何となくわかるよ」
三上くんは植物の遺伝子組み換えには反対なんだな。
それはきっと、植物を愛しているからなんだろう。
バイオテクノロジーのメリット、デメリットはあたしにはよくわからないけれど、三上くんの気持ちは少しわかる気がした。
「それに俺が見たいのは、中途半端な青じゃないんだ。完璧な青が見たいんだよ。その絵みたいなね」
「完璧な青か…。あたしも、見てみたいな」
あたしの同意に、三上くんは嬉しそうに目を細めた。
「俺の夢は、バイオテクノロジーには頼らない、自然で完璧な青いバラを生むことなんだ」
その夢が誇りであるように、彼は背筋を伸ばして凛とした表情で言った。
うらやましいと感じてしまうのも、仕方ないと思える顔だった。