告白 1&2‐synchronize love‐
心臓が止まる。
そう感じたのは、呼吸ができなくなるほど強く抱きしめてくる腕のせいではなく。
目の前の堅い胸板に、顔を押し付けられているせいでもなく。
ただ単純な、喜びのせい。
ダウンベストの下に着た薄手のパーカーから、恭一の優しい匂いが。
あたしの背中と、頭の後ろに回った大きな手の温度が。
あたしの心を狂わせる。
静かな住宅街にある街灯の下、響くのは二人の息づかいだけ。
まるで世界に、二人だけになったようで。
けれど…恭一を抱きしめ返すことには大きな躊躇いがあり、できなかった。
「き…恭一?」
「………」
「あ……、あのさ。新しいメンバーの人、決まったんだってね? これでデビューできるじゃん。…おめでと」
恭一の反応はない。
マフラーの端を目にしながら、このおかしな雰囲気を和ませようとあたしは更に口を開く。
「ね…恭一。このタトゥーの形って、アンタのオリジナル?」
問いかけると、数秒後に恭一は頷いた。
「やっぱり。じゃあ、どういう意味があるの?」
これには恭一は答えてくれず、ただあたしの片口に顔を埋めている。