告白 1&2‐synchronize love‐

一体どうしたっていうのか。


「……あ、わかった。アレでしょ。“俺は音楽と共に生きる”みたいな」


冗談のつもりで言ったそのセリフに、恭一はわずかに体を震わせたようだった。


「恭一…?」


恭一はゆっくり顔を上げた。

でも中途半端に伸びた金髪のせいで、顔が隠れてしまっている。

表情が見えない。

ただ、笑う為にあるような大きな口が動いたのは見えた。

その小さな声があたしの耳に届いた直後。


あたしの顔と恭一の顔が、重なった。


閉じられた瞼、長い睫が伸びた金の前髪の隙間から見えた。

この至近距離は、恋人の距離。

冷えた唇のカサついた感触は、恋人同士だけの秘密。

一時間と少し前に、時計広場で三上くんと交わした、恋人同士にのみ許された愛の約束。

それをいまあたしはもう一度、恭一と…?

あたしの思考が麻痺している間に、恭一の唇が離れた。

また、髪で顔が見えなくなる。




あたしを抱いていた長い腕も離れ、恭一は一歩、後ろに下がった。



< 366 / 790 >

この作品をシェア

pagetop