告白 1&2‐synchronize love‐
コータ先輩は眉を少し寄せて、あたしを見下ろす。
そのビー玉みたいに綺麗な目には、以前あたしに向けられていた特別な感情は浮かんでいない。
ただ単純にあたしに質問をしているだけ、という感じだ。
「…バンドはやってるけど、エイジって名前じゃないです」
「そっか。…でも名前変えてるってコトもあるな」
「あの…?」
何の話しなのか問おうとした時、廊下の向こうからユウナ先輩が走ってきた。
あたしを見て、手を振り駆け寄ってくる。
「いたいた美緒!」
「ユウナ先輩」
「あ。コータ先輩、もう話しました?」
ユウナ先輩はコータ先輩を見上げ尋ねる。
コータ先輩は首を振って「これから訊くとこ」と答えた。
「何の話しですか?」
「そう、聞いてよ美緒! パパノのヴォーカルが変わっちゃったの!」
「え…パパノ?」
ユウナ先輩は泣き真似をしながらあたしに抱きついてきた。
パパノはユウナ先輩が好きなロックバンドの一つだ。
前に彼女からもらったMDの、最後に入っているのが彼らの曲で、あたしもかなり好きだった。
少しかすれた響きのあるヴォーカルの声が、明るい曲にも独特な切なさを持たせていて。