告白 1&2‐synchronize love‐
身長が2メートルくらいありそうな、肩幅の広いガッチリとした三十歳くらいの男の人は、ハルカさんの後ろで足を止めた。
「坊ちゃん。皆さんお待ちです」
地を這うくらいに低く響く声が、ハルカさんにかけられた。
坊ちゃんて…。
黒髪を後ろに撫でつけた巨人を、あたしはぽかんと見上げる。
スーツに黒のロングコート、それから目がまったく透けて見えないようなサングラスをかけた相手は、とても一般人には見えなかった。
高級そうなスーツにコートだけど、エリート商社マンとか青年実業家とかいうよりも、
…ヤクザっぽい。
ハルカさんは冷めた顔で男の人を見上げた。
「坊ちゃんて言うな。…待たせといてよ」
「坊ちゃん」
「うるさいな…先にやってればいいのに」
ハルカさんの苛立たしげな呟きに、ヤクザみたいな男の人はサングラスを外した。
あたしはギョッとした。
鋭い目つきが、あたしを含める大勢の参拝客とは、まるで違う。
切れ上がった眦、尖った顎には小さな傷が。
絶対にヤクザだと思った。