告白 1&2‐synchronize love‐
「そういうわけにはいきませんよ。…こちらは、まさか坊ちゃんの?」
男の人の目が、あたしに向けられる。
別に睨まれたわけでもないのに、あたしの体は硬直した。
「千堂、おかしな想像はするなよ。恭一の妹だ」
「そうでしたか。…はじめまして。坊ちゃんの側役の千堂と申します」
千堂と名乗った人は、大きな体を折り曲げてあたしに頭を下げた。
「あ。…はじめまして、酒井美緒です」
慌てて頭を下げ返す。
男の人は愛想笑い一つ見せず、ハルカさんに「向こうでお待ちしています」と言って、境内の方に戻っていった。
千堂さんの進行方向にいる参拝客は、皆道をあけていた。
「…側役って」
「ただの護衛。俺は関係ないけど、うちヤクザだから」
平然とハルカさんは言い、あたしはやっぱりなと頷く。
もしかして、恭一をよく追いかけていた黒塗りのベンツは、ハルカさんの車なんだろうか。
そう思ったけれど、ハルカさんが不機嫌そうな顔をしているから、訊けなかった。