告白 1&2‐synchronize love‐

あたしは聞こえなかったフリをして、彼女らの横で手を洗う。

こういう時、何か反論したとしてもどうにもならない。

火に油をそそぐようなものだ。


「……かなり遊んでるんだって」


沈黙の時は短かった。

誰かがぼそりとそう言ったのを皮きりに、女子たちは小声で話しはじめる。


「男が何人かいるらしいよ」

「門のとこによくいる金髪の人が、アシなんだって」

「コータ先輩も騙されたんだよきっと」


好き勝手に言って、彼女たちは移動をしだした。

このまま出て行ってくれるかと思ったら、途中ひとりがあたしの足を思いきり踏みつけ、

最後のひとりが濡れた手であたしの肩をドンと押して行った。

女は集まるとコワい。

強く踏みつけられた足の痛みで、自然と目頭が熱くなる。

それをぐっとこらえて、ハンカチで濡れた制服をぬぐってトイレを後にした。

< 43 / 790 >

この作品をシェア

pagetop