告白 1&2‐synchronize love‐
獣の歯が光る。
男の人を本気で恐いと思ったのは、初めてかもしれない。
恐怖で体が固まってしまっている。
叫べばすぐ、下にいる三上くんが助けに来てくれるはず。
でもこの広い家で、バスルームにいるのだろう彼に、声は届くだろうか。
それ以前に、声まで出なくなっていた。
嫌だ…!
恐怖と嫌悪感で涙がにじんできた時、
「兄さんに借りなんてないよ」
冷たさを感じるくらい落ち着いた声が、あたしの耳に届いた。
お兄さんの肩越しに、ドアの前でクインを抱えて立つ三上くんが見えた。
「出ていってくれない?」
「…はえーんだよお前は」
お兄さんはつまらなさそうに言って、あたしの上から退いた。
圧迫感が消え、ようやくまともに息が吸える。
「俺ァもう行くから、思う存分楽しめよ」
そんなことを言いながら三上くんの肩を叩き、お兄さんは部屋を出て行った。
三上くんはため息をつき、ドアを閉める。