告白 1&2‐synchronize love‐
しかしあたしには、笑うヒマも悲しむヒマも与えられなかった。
「ねぇ! アンタ、パパノのメンバーと知り合いなのっ?」
「どういう関係?」
「なんで今日あんなコトになったの?」
「番号交換しない?」
あっという間にパパノファンに囲まれて、四方から次々と質問が飛んでくる。
なぜだかケータイの写メであたしの顔を撮る人まで出てきた。
ちょっと待ってよ。
あたしはただの一般人なのに、何で勝手に写真なんか撮られなきゃならないの?
何に使う気だ。
「あの…ちょ…っ! すみませんけど! あたしは何も知らないですっ」
「番号くらいいいじゃん!」
「やめて放し…」
「やめろっ!!!!」
押しつぶされると思った時、怒号のような制止の声が響いた。
その声量にファンは一瞬しんとなり、動きも止まる。
いまの声って…。
あたしが顔を上げたところで、強く腕をつかまれた。
「悪いけど急ぐんで。…行こう」
三上くんが周りを牽制するように見回しながら、あたしにそう言った。
ファンがみな、三上くんを見たまま固まっているうちに、あたしはその輪から抜け出した。
そして彼に引かれるまま走る。