告白 1&2‐synchronize love‐
三上くんは一瞬動きを止め、それから顔を上げて立ち上がった。
そのままいつも通りの落ち着いた足取りで教室を出ていく。
「授業続けるぞー」
何事もなかったように授業は再開されたけれど、あたしは廊下に見える2人の影が気になって仕方なかった。
けれど1分もしない内に三上くんは教室に入ってきた。
「……三上くん?」
戻ってきた彼の表情は固く、足取りも早く、焦っているようだった。
彼は席には着かず、立ったまま鞄に物をつめだした。
「帰るの?」
声をかけるとようやく三上くんがあたしを見た。
「うん。酒井さん、今日バイト?」
「ううん、休みだけど…」
「そう。後で連絡する」
「え、三上く」
それだけ言って、彼はコートを取り、教師に「帰ります」と短く伝えて教室を出ていった。
みんなポカンとした顔でそれを見送って、その後ざわざわと騒ぎはじめる。
何かあった…?
不安が心に広がっていった。