告白 1&2‐synchronize love‐

同時に隣りのベンチの女性や、固まって何か話し合っていた男の人たちが寄ってくる。

この細いぼんやりした白衣の人が、三上くんのお父さん?

何で白衣なんて着てるの?

本当にお父さん?

全然似てないし、若すぎる。

綺麗な顔立ちを眼鏡でかくしてるところは一緒だけど、

お父さんは陰影の濃い、異国の血を感じさせる顔立ちだった。

三上くんはお母さん似?

ああでも、どっちにも似てないって言ってたっけ。


「父さん、兄さんは…」


お父さんはガラスの向こうをちらりと見て、静かな声で答えた。


「腹部からの出血がひどくて危なかったらしいけど、とりあえず持ちこたえた。もう少し容態が安定したらまた手術だそうだ」


新聞の記事でも読み上げているかのような、淡々とした言い方だった。

動揺を抑えているという風でもない。

この人、本当に父親なのかというくらいに落ち着いている。

あたしの横にいた女性が、ぐいと前に出た。

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