告白 1&2‐synchronize love‐
「美緒ちゃん走れ!!」
「は!? 何で!!」
恭一は有無を言わさず、あたしの手を掴んで走り出した。
混乱しながら後ろを振り返ると、学校の前の道路を黒塗りのベンツがバックしていくのが見えた。
もしかして、この道に入ろうとしてる?
「あ、アンタ、何に追いかけられてんの!?」
「ええっ? いやあ、俺ってモテモテで! 困っちゃうよね~!」
走りながらもヘラヘラ笑えるなんて、器用な男だ。
一体何にモテモテなんだ。
黒塗りベンツなんて、あたしにはヤーさんしか思い浮かばない。
「どこ行くの!?」
「この先の駐車場に原チャ停めてるから! そこまで走って~!」
「もう! 勘弁してよね!」
後ろはもう怖くて振り向けないから、あたしは手を引かれるままひたすら走った。
広い背中だけを見て、ただ走った。
今日はTシャツに隠れて、あのトライバルは見えないのが、なんだか少し残念だった。