告白 1&2‐synchronize love‐



「…立ち話しもなんだから、入って」

「………でも」

「話すから」


あたしの反論を遮るみたいに、恭一は強い口調で言った。


「全部、美緒ちゃんに話すから」


うつむいたままそう言って、恭一は中に入っていく。

取り残されたあたしは、開けっ放しにされた扉に手をかけた。

ここで帰れるわけない。

何をしにここに来たのか、わからなくなる。

前に進むために、三上くんがくれたチャンス。

傷つくことをこわがって、逃げ帰れるほどあたしは、弱い女じゃないはずだ。

そう自分を奮い立たせて、あたしは305号室に足を踏み入れた。

玄関にはあの女性の靴と、見慣れた恭一のスニーカーが並んでて。

警告のようにすら感じた。




知って後悔することと、

知らずに後悔すること。

同じなようで全然ちがう。

でもこの時あたしは、それをわかっていないまま、玄関の扉を閉じた。



< 673 / 790 >

この作品をシェア

pagetop