告白 1&2‐synchronize love‐
「…立ち話しもなんだから、入って」
「………でも」
「話すから」
あたしの反論を遮るみたいに、恭一は強い口調で言った。
「全部、美緒ちゃんに話すから」
うつむいたままそう言って、恭一は中に入っていく。
取り残されたあたしは、開けっ放しにされた扉に手をかけた。
ここで帰れるわけない。
何をしにここに来たのか、わからなくなる。
前に進むために、三上くんがくれたチャンス。
傷つくことをこわがって、逃げ帰れるほどあたしは、弱い女じゃないはずだ。
そう自分を奮い立たせて、あたしは305号室に足を踏み入れた。
玄関にはあの女性の靴と、見慣れた恭一のスニーカーが並んでて。
警告のようにすら感じた。
知って後悔することと、
知らずに後悔すること。
同じなようで全然ちがう。
でもこの時あたしは、それをわかっていないまま、玄関の扉を閉じた。