告白 1&2‐synchronize love‐
大きな右手が差し出された。
「ありがとう、美緒ちゃん」
お礼を言われる理由がよくわからなかったけど、あたしはその手を握った。
涙はない。
笑顔は消さない。
「ひとつだけ」
「…なに?」
「あの曲は、本当にキョンキョンにとって特別だったんだ。だって、美緒ちゃん一人に向けて作った曲だから」
いたずらっぽく微笑んで、目の前のタレ目がウインクする。
「逆さまだよ。そうすればきっと、アイツのメッセージが見えてくる」
「メッセージ…?」
よくわからなかったけど、それ以上は説明してはもらえなかった。
日が完全に落ちて、「もう帰ろう」って言うから、あたしはそっと握っていた手を離した。
「ここでいい」
「美緒ちゃん?」
どうかしたのかって覗き込んできた顔。
あたしは笑顔を作って、その唇に小さくキスをした。
三度目のキスは、涙の味がした。