告白 1&2‐synchronize love‐

「イイ曲だね」


白々しくハルカさんが言って、あたしの横に立つ。


「大好きなバンドの曲なんで」


だからあたしも白々しく返した。

彼が横で拝むのを見てから、あたしも手を合わせる。

けど、伝える言葉が見つからなくて。

生きてるあなたに会いたかったとか、あなたの歌を直接聴きたかったとか。

そんな言葉ばかりが出ちゃいそうで、あたしはすぐに拝むのをやめた。


「新しいヴォーカルは見つかりました?」


ハルカさんがタバコに火をつけるのを見ながら聞いてみた。

彼はしばらく黙ってたけど、長い沈黙の後に突然「ありがとう」って呟いた。


「……は?」

「アイツに言ってくれたんでしょ? 本気で探せって」

「え。……ああ」

「おかげでウチのバカも、本気になって探し出したよ」


それを聞いて、ほっとした。

あの日から、それだけが心配だったから。








ハルカさんの吐く煙りがゆっくりと、天に向かってのぼっていく。

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