告白 1&2‐synchronize love‐
バイトが終わったあとバスで家に帰っている間も、
遅い夕食をとってお風呂に入っている間も、
あたしはやっぱりしつこく『深田恭一』の名前を繰り返していた。
濡れた髪をタオルで拭きながら、ソファーでテレビを眺めていても、あのヘラヘラ男の顔が浮かんできてしまう。
「あのさー、深田恭一って名前聞いたことある?」
ソファーの背に顎を乗せ、ダイニングテーブルにいる両親に問いかけてみる。
あたしより遅く帰ってきたお父さんは、スーツ姿のままネクタイだけ外して食事をしていた。
お父さんはしかめっ面をこちらに向けて箸を止めた。
お母さんも湯呑みを置いて首を傾げる。
「誰? 芸能人?」
「ううん。ストーカー」
「ストーカー?」
お父さんは眉間の皺をいつもより更に深くした。
コンスタントにこんな表情のお父さんを見ると、あたしは父親似だとしみじみ思う。
寡黙なお父さんは表情の変化も乏しくて、冷たそうに見えるんだよね。