桃色柳が見えた頃。
僕は上。君は下。
夏の暑さが終わって
やっと気候が涼しくなった頃―。
―俺は死んだ。
話は少し前に戻る。
彼女と2人で電車に乗っていた。
学校帰りだった、
彼女は俺の肩にもたれかかり
すうすうと寝息を立てていた。
穏やかな顔、俺はその顔が好きだった。
彼女の髪を愛撫して俺も瞼を閉じた。
その時だった。
俺たちの乗る電車はものすごい音を立て、真横へと傾いた。
窓ガラスは割れ、乗客は宙を舞い。
あちこちで悲鳴があがる。
俺はとっさに彼女を抱き寄せ、多いかぶさる形で床(どこが床なのかわからないが)に伏せる。
背中と頭に鈍器の様な衝撃か走る。
俺の記憶はここまでだ。
俺の名前が書いてある紙を見つけたのでそこに書いてある住所を頼りに行き着いたところは、葬式だった、白黒のカーテン(名前がわからない)をくぐりぬけるとそこには俺の顔写真があった、
ドラマかなんかでよく見た光景だ。
母さん父さんはおれの棺桶の前で泣き崩れ、彼女は……一人椅子に座り顔を覆っていた。
俺はそこで悟った、
俺は死んだのか。
思い返せば短い生涯だったな、
もっと派手に楽しめば良かった。
これで、俺も成仏……。
………………………………
できねぇぇぇええぇえぇぇえええぇぇ。
う、うう、嘘ぉ?!
え、だって、ドラマとかではさっ!
こう、シュワーっとなんか成仏できるのに!えっ!もしかして成仏なんてないの?!浮遊するしかないの?!永遠と?!
お、おおおおおいおいおいおいおい、
えぇ、嘘だろぉおおおおおおお、
ん、待て待て、ドラマとかでは(ドラマ情報か多い俺)なんか思い残す事があったら成仏できないって言うよなっっ!それかも!
それだろ!絶対それだ!
ちゃっちゃっとスッキリしてさっさと成仏しよう!うん!
おれの【思い残す事】を探しに行こう。