サイコーに愛しいお姫様。
「ったく!花にあたることないでしょ?ほらっ!抜いてあげるからっ!!」
そう言って救急箱からピンセットを取り出す姫。
だってさー俺以外の男からもらった薔薇が飾られた机の上で飯なんか食えるかっ!
「その客ってどんな奴?なおに気、持ってる?」
「さぁ?男の人では珍しく月1で店に来るよ。冗談でくどかれることもあるけど私は結婚してるって伝えてるし」
「く……くどかれたぁ?!」
叫んだ瞬間、思いっきり姫に頭を叩かれる。
「動くな!喋るな!!取れないでしょ!!」
ぐっ!俺ってジッとしているのって苦手。すげー体に力が入ってる俺を見てなおは……
「ぷ……かわいい。子供みたい」
近い位置で綺麗な顔が俺を見て笑う。かわいいのはお前のほうだって。
久々にドキッとして吸い込まれるように自然と唇を近付けてキスをしようとしたら……
「動くなって!!私、細かい作業は嫌いなんだから取れないとイライラするぅ!」
………ちくしょう。
雰囲気もへったくれもねーな。
無事トゲは取れた。でも俺の心の中のトゲは取れないまま。