サイコーに愛しいお姫様。


その日までは平和な夜だった。なおのおいしい手料理を食べてたわいもない会話をして……



俺の嫌な勘が当たったのは次の日。仕事先からアパートに帰ろうとしている道のり。



歩いている俺の横をゆっくり徐行しながら近づいてくる車。



次の瞬間、その見覚えのない車からクラクションを鳴らされる。



「は?誰?」



運転席の窓が開いた先にはなおの先輩、今では店長になった瀬名さんが乗っていた。



「あーこんばんは。瀬名さん何やってるんですか?」


「とりあえず後部座席に乗って」


「へ?」



言われるがままに後部座席に乗りこむ俺。乗り込んで初めて気付いた。



「なお!お前何やってんの?」



そう。なおも隠れるように助手席側の後部座席に乗っていたから。



「いや……ちょっと厄介なことに」



深刻そうな表情のなお。そしてなぜか瀬名さんの車に乗らされている現状。一人ワケの分からない俺に瀬名さんが口を開いた。



「なおの担当している客の野口さんって人が今日も来て……妙なんだよね」


「……妙?」


「前々からおかしいなって気にはなってたんだけど……」



は?意味が全然分からないしっ!!




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