サイコーに愛しいお姫様。
「公園前に不審車両。黒のエスティマ。ナンバーは31××。一応、頭の中に入れておいて」
「え?取り押さえないんですか?」
そのまま車を止めないでアパートへと向かう瀬名さんに問い掛ける俺。
「シラをきられるのがオチだよ。まずは盗聴器を探そう。とりあえず普通を装って会話をして。俺は筆談するからあくまで二人で会話をしてるようにね」
さすが瀬名さん。
やっぱり頭いいな。
「なんで野口さんが……」
混乱しているなお。勘のいい女なのに本当に好意を寄せられてるの気付いてなかった?
「なおはさ、誰にでも親身になって話するでしょ?多分野口さんは勘違いしてるんだよ。最近やたら店に来る回数増えたし、愛されてるんだって一方通行の思い込みしてるんじゃない?」
「はぁ?結婚してるって知ってるのに?!」
「あまりにエスカレートすると離婚して自分と結婚したいんだって勝手に思ってきちゃうもんらしいよ」
「やだ……気持ち悪い」
少し体が震えているなおをギュッと抱き締める。
「瀬名さん、あまり恐がらせないで下さい。なお、大丈夫だから」