サイコーに愛しいお姫様。



瀬名さんに言われた通りに普通を装ってアパートの部屋に入る。



「はー疲れた!」


「今からご飯つくるからシャワーでも浴びてくれば?」


「うん!」



よしよし。バスルームに行って一応、シャワーの蛇口をひねる。



テレビをつけてなおは一人で料理をつくってるから話す人はいない環境を作り出した。



実際は三人とも例の置き時計の前にいるんだけど。



瀬名さんは時計を手に取る。あらかじめ用意していたメモに走り書き。



『ねじ回し』



ああ……ねじを開けるのね。足音をたてないようにごそごそと工具用品の入ったセットを瀬名さんに手渡す。



丁寧に一つずつねじを外してどんどん分解されていく置き時計。



俺となおは黙ってその様子をドキドキしながら見守る。



瀬名さんの顔は曇ったまま……そしてまたメモに走り書き。



『時計には盗聴器はなし。別の場所に仕掛けられてる可能性がある』



は一一一一!?
どっ……どういう意味だよっ?!



慌ててペンを取って今度は俺が走り書き。



『この部屋に忍び込んだってこと?!』


『多分。二人が出かけたのを確認してから忍び込んで一番怪しまれる時計から盗聴器を外して違う場所にうつしたのかも』




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