サイコーに愛しいお姫様。


俺もなおもその文字に固まってしまった……



この部屋のどこかに盗聴器が仕掛けられていて聞き耳をたてている奴がいるなんて。



『とりあえず今日は普通に会話をして。あまり知られたくない内容は伏せてね。明日、簡易の盗聴器発見器買ってくるから。大事な話は筆談にして』



そう書いたメモを渡して瀬名さんは静かにアパートから出ていった。



暗い顔のなおを引き寄せてギュッと抱き締める。



しがみついてくるなおの体が少し震えているのが分かった。



気が強い女でも所詮、女なんだから怖くて仕方ないだろうな。しかも相手が客だなんて確定的な物的証拠がないと。



その時、なおの携帯がなる。瀬名さんからのメール。


【さっきの不審車両はいなくなってる。一応ぐるぐるアパート周辺まわったけど停車してる車も怪しい人影もなかったから今日は大丈夫かも。明日からは俺が送っていくから。でも気をつけてね】



そのメールを見た途端、安堵のため息をつく俺。わざとテレビの音量を大きくする。そして小声でなおの耳元で囁く。



「なお……絶対一人になるなよ。万が一、その野口って男と会ったら思いっきり走れ。お前の足なら近くの店に逃げ込めば大丈夫だから」




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