サイコーに愛しいお姫様。
ま、路上でナイフを振り回していたんだからこんな記事に載るのもおかしくないけどさ。
「容疑者はこんなはずじゃなかった……求めていた女性じゃなかったと訳の分からないことを繰り返しているだって」
「私をどんだけ美化してたんだろうね?おかしくて笑っちゃったよ!」
でもこれで野口が出所してきても二度となおの前に姿を現すことはないだろう。
なおの豹変ぶりにかなりビビってたからな。
「こいつ元鍵屋の仕事していたんだ?だからこのアパートの部屋の鍵も簡単に開けられたのか!」
新聞の記事の情報で初めて知る情報。
「鍵じゃなくてカードで開けるタイプのアパートに引っ越す?それかオートロック式のマンション!」
寝癖をクシャクシャしながら姫に言うと吹き出す。
「そんな必要ないよ。ツッチーが私を守ってくれるんでしょ?」
思わずキョトンとしてしまう俺。かなり頼りにされている気がしてなんだか嬉しくて……
「もちろん……」
姫を守るのが俺の役目だろ?
右手でなおの頬に触れてソッと唇にキスをして優しく抱き締めた。