サイコーに愛しいお姫様。



もうありえねー。こんなに積極的に誘われてしまったのは初めてで冷静を装っていた俺だけど少し動揺していた。



ため息をつきながらまたカウンターに戻ると俺の座っていた場所には……



「なお……ちゃん」



なおが頬杖ついて明らかに不機嫌な顔をして俺を見つめる。



「こ…光輝は?」


「送り届けてきたよ。寝ちゃったから鍵をかけて出てきたの。光輝のお母さんは?」



遅れて裏口から出てきた楢崎さんになおを紹介する俺。



なおは光輝の家の鍵を楢崎さんに手渡して一言。



「悪いけど部屋に入った瞬間、呆れました。あんなにちらかして茶碗も洗濯物もためこんで。もう少し母親らしくしたらどうですか?」



なおの言葉に楢崎さんは一気に表情が変わる。



「子供を生んだこともないくせに甘いこと言ってんじゃないよ!私だって一生懸命やってんだよっ!」



うわわ……元ヤンだ。確実にこの人は昔ヤンチャしていたはず。



「ろくに家のことをしないでよく言うよ!明日授業で使う絵の具を必死で探している光輝の姿……あんたは見たことある?体操服のとれかけたゼッケンを自分で縫い付けている光輝を見たことあるの!?」




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