サイコーに愛しいお姫様。



「土屋くん、有給使っていいから奥さんのそばについていてあげれば?」



仕事復帰した俺に気を使ってくれる小倉さん。



「いえ。有給は夏に。妻と旅行に行くときにとっておきたいから……」



痛々しい目で見られても全然平気。だって本当に俺は夏になおと旅行に行くんだ。



約束したんだから。約束を破るような女じゃないもんな?



「土屋さん!病院から電話です!!」



事務の女の子の切羽つまった声にドキッとする俺。



いい知らせ……だよな?



ドキドキしながら受話器を耳にあてる。



「はい」


『土屋さん……奥様の心肺機能が低下してきました。人工呼吸器を取り付けるので病院までお越しください」



一一人工呼吸器。



もう……自力で呼吸することもできなくなった……?



悪いほうへと容体が進んでいくなおを……



俺は……




助けてやれないのかよ?





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