サイコーに愛しいお姫様。



「顔色悪いよ?きちんと寝てる?食べてる?」



相変わらず相馬は毎日仕事帰りになおのお見舞いにやってきてくれて俺のことも気にかけてくれていた。



「俺は大丈夫。それよりあみちゃんは?」


「毎日泣いて毎日お願いごとしてる。なおちゃんに会いたがってるけど感情的になると過呼吸起こして迷惑かけるから家で待ってるって」


「……そっか」



右手でなおの前髪に触れて口を開く。 



「あみちゃんのこと大切にしてやれよ。充分大切にしてると思うけど失ってから気付かされるものって意外とたくさんあるんだよな……」



朝イチからの姫の怒鳴り声も……



酒を飲んで俺に無茶ぶりしてくるのも……



不意をついてどつかれても……



失った今は全てが大切。



全てが愛しい俺の生活の一部になっていた。



「まだ失ってないよ。なおちゃんは今、眠ってるだけ。休憩しているだけ。また絶対に目を覚ますから諦めるなよ……」



諦めてなんか……ないよ。俺が信じて待っていなきゃなおの帰ってくる場所がないじゃん。




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