サイコーに愛しいお姫様。



「なーお!明日から食事になるってさ♪よかったな!」



病室に行くと看護師さんと笑顔で話しているなお。俺の顔を見てニコッと微笑む。



「天気悪いね。雨かな……」


「そう?曇は多いけど……あ!てるてる坊主明日持ってきてやるよ!」



家には千羽鶴に負けないくらいのてるてる坊主が作ってあるんだから。



「爪切り欲しい」



そう……こんな感じに会話が全然成り立たない。本人に自覚はないらしい。



「最初はみなさんこんな感じですよ。頑張りましょうね」



看護師さんからコソッと耳打ちされた。



うん!全然苦じゃねーよ!どんなに会話が成り立たなくても眠り姫より全然まし。



看護師さんが出ていってなおと二人きりになった病室。



姫の手を取って爪切りで爪を切ってあげる。



「なお他に何かしてほしいことある?」


「お父さんたちは?」



ぷっ……マジでかみあわねー!録音してなおが回復した時に聞かせてあげたいな。



「親父さんたちは夕方から来るよ。相馬とあみちゃんも明日来るから。よかったな。みんななおを心配してるんだよ?」



不器用な俺が切ってあげた爪を見て姫はただ笑顔で微笑んでいた。




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