サイコーに愛しいお姫様。



そんな会話を横で聞いていた看護師さんは笑っていたけど医者から呼び出されて聞いたこともない病名を告げられた。



「高次脳機能障害?」


「はい。主に、大脳に器質的な損傷によって生じます。言語・動作・認知・記憶等の障害が起きるものです」



なおは普通に話せてるし昨日の会話も覚えている。まだ体のリハビリは始まってないから分からないけど……



「奥様は事故前と性格の変化はないですか?」


「はい?」


「怒り方の口調の変化とかかなり荒くなったり……そういう症状も出るのが特徴なんですけど」


「いえ。妻はいつもあんな感じですよ?」



…………………………。



「えっと……いつもあんな会話をされているんですか?」


「はい。何か?」


「いえいえ。失礼しました」



どうやら看護師も医者もなおの見た目と話し方にギャップを感じていたらしい。



「でもこの症状は来月出るかもしれないし二年後に出るかもしれない。そう心にとめておいて下さいね」


「はい!」



医者は奇跡だと言っていた。かなり珍しいケースでなおは回復してきて自分で車椅子でリハビリ室に行って立つ練習を始めた。



自主的にリハビリを始めるようになったらほぼ回復傾向にむかっているらしい。




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