サイコーに愛しいお姫様。
「私が勝手に助けただけです。罪悪感なんて感じないで下さい。頑張ってリハビリして社会復帰してみせますから」
なおの力強い言葉。相手に罪悪感を与えさせないように精一杯の優しさ。
事故前と全然変わってない。サイコーにいい奴。また惚れなおしたじゃん。
「そんなふうに言って頂けるととても救われますが精一杯のことはさせてください。何かできることがありましたらご連絡下さい」
そう言って手渡された名刺。名刺の肩書きを見て驚いた。
「取締役……社長?!」
しかも普通の社長じゃなくて……
「土屋さん……うちの会社の系列の店舗で働いてる奥様と聞いて驚きました。店は休んでいいので奥様についていてあげて下さい」
そう、俺の勤めている系列会社の社長だった。名前は知っていたけど会ったこともないからピンとこなかった。
「いえ。仕事は仕事なんで。妻にはたくさん支えてくれる人もいるし」
すげー偶然。人の繋がりってすごいな。ていうか世間は狭いとはこういうことだ。
少しばかり世間話をして二人はまた頭を深々と下げて帰っていった。