サイコーに愛しいお姫様。
「あー!ツッチーだぁ!!」
……っ!!
どいつもこいつも。
なおの実家に着いた途端、弟の雅人(13)にツッチーと呼ばれている俺。
「雅人!直哉兄ちゃんって呼べっていつも言ってるだろ!」
「なんでぇ?だってみんな……」
「あらーツッチー!どうしたの?今日成人式じゃないの?」
奥からなおの母親がやってくる。そしてやっぱりツッチー呼ばわり。
「こんにちは。俺、市内の中学校だから式典しかないんでなおの送り迎えに今日は来たんですよ。って……ええ?!」
言ってるうちにグイグイと腕を掴まれてリビングに引っ張られていく俺。
「お父さん!ツッチーが遊びに来たわよ♪」
「お!ツッチー!暇してたんだよっ!トランプしようぜ!トランプ!!」
お……親父さんまで。しかもトランプですか?
「ツッチーじゃん!私今からデートなの。ゆっくりしていってね♪」
なおの姉ちゃんのなつさん(22)。リビングにひょっこり顔を出したかと思ったらバタバタと家から出かけて行った。
ええ、もう御覧の通りみーんな!!ツッチーなんだよ!!
俺の名前なんて知らねーんだ。ちくしょう。