サイコーに愛しいお姫様。
「ああああ一一一!!」
隣の姫がいきなりバカでかい声でその女を指して叫ぶ。騒ついていた店内中の客が俺たちを注目。
「いや……なお……気持ちは分かるけど穏便に」
なおがどんな暴言を吐くかドキドキしていたら意外な言葉が出てきた。
「私に声かけてきた変質者……」
「へ……?」
一同キョトン。
なおはこの深見って女ではなく後ろにいた連れの男を指さしていた。
「は?何よ?知り合い?」
「いやっ!知らないよっ!会ったこともないしっ!!」
その男は慌てて深見に弁解している。どういう関係?
「間違いないよ!おじさんっ!あんた私に蹴ってくださいっ!って言ったじゃない!!」
こいつがあの変質者かっ!?
「本当なの?」
「声なんてかけてないよ!何かの間違いだよ!」
よっぽどこの女が怖いのか。必死な男。だけどうちの姫は絶対にひかない。
「この間も玉里交差点で私以外の女に声かけてたよ!」
「ふーん……なるほどね……」
勘弁したのか男は両手を合わせて頭を下げる。そして次の瞬間、二人の関係が何なのか理解できた。