サイコーに愛しいお姫様。



「……なおちゃん、こっち向いて」



初めて一緒に入るお風呂。姫はサイコーに不機嫌。さっきから思いっきりバスタブに頬杖ついてそっぽむいちゃってるよ。



「まず何から話そうかな」


「別にいいよ。聞きたくないし!」



嘘つき。気になってるくせにさ。



「じゃ、先になお抱こうかな?」



完全に意地悪スイッチがONになっている俺の手がなおの体に伸びた瞬間、思いっきりバシャバシャッとお湯をかけてくる姫。




「触んな!バカ!!まだ私は怒ってるって言ってるでしょ?!」


「ばっ……鼻に入った」



もうっ!完全にキレた。もう容赦しね一一!!



「だったら聞けよっ!まずなあの女は客!試乗しに定時ギリギリにかけこんできたんだよっ!!」


「……試乗?」



やっとおとなしく耳を傾けてくれる姫の手を取って後ろから抱き締める。



「携帯の充電も切れちゃって連絡できなかったんだよ。だから電源切ってたわけじゃない」


「でもさっきは携帯使えたじゃん!」


「相馬の家に行って充電器借りたんだよ!おかげで笑い者だよ!なおのバカ!」



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