サイコーに愛しいお姫様。



職場に着くとすぐに小倉さんに指輪を指摘された。



「土屋くん!結婚指輪なんかしちゃダメだよ!真田さんの商談がまとまりそうなのにっ!」


「結婚してる男からは買わないって人なら別にいいです。俺は車を購入に来てる人を相手に仕事してるんだから」



小倉さんは俺の言葉に呆れ顔。どうせきれいごとだと思っているんだろうけど本当にそう思うんだ。



そんな話をしていたら真田さんが店にやってきた。女の子って本当によく気付くよな。結婚指輪。



「土屋さん結婚されてたんですか?」


「はい。同い年の家内がいます」



二人でソファーに腰かけて事務の女の子がコーヒーを運んできた。さぁ、どう出る?契約しませんっ!とか?



でも真田さんの場合、驚いた表情の中にもやっぱりな……みたいな顔。



「名刺渡してもメールもこなかったから彼女がいる方かなって思ってはいたんですけど。既婚者だったんですね」


「はい……なんかすみません」



なんで俺、謝ってるんだろ?勝手に心の中で突っ込んでいると真田さんは車のカタログをパラパラとめくり始めた。




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